東京都美術館「Walls&Bridges 壁は橋になる」展 人生の困難に立ち向かった5人の展覧会

壁は橋になる展ジョナス・メカス

上野の東京都美術館で開催中の「Walls&Bridges 壁は橋になる」が、Twitterで見て気になったので、先日行ってきました。

タイトルから、難民など大きな社会問題などに取り組むようなアーティストの展覧会かと予想していましたが、実際には違いました。展示されていたのは、自身の困難に立ち向かって作品を作った5人の作品。すなわち、困難(壁)を、外の世界とつながる表現(橋)へと変えた人たちでした。沢山の作品を生み出した国際的に有名な作家とかではありませんが、それぞれに印象が残る作品が展示されていました。

展示されていたのは、以下の5人です。
・ジョナス・メカス(1922‐2019 リトアニア生)
・増山たづ子(1917-2006 岐阜県生)
・シルヴィア・ミニオ=パルウェルロ・保田(1934-2000 イタリア)
・ズビニェク・セカル(1923-1998 チェコ生)
・東勝吉(1908-2007 日本生)

ジョナス・メカス
同美術館で現在開催中の「ゴッホ展」の近くの入り口から展覧会場に入り、最初に見えるのはジョナス・メカスの作品です。
「日記映画」として、16ミリフィルムカメラで日常を捉えた映像作品とそのフィルムは、見たことがない光景の筈なのに、何故かどこか懐かしさを覚えます。
映されている1970年代のアメリカとか、私は実際には勿論知らない筈なのに、いつか映画や展覧会で見た場面を思い出しているのでしょうか。また、桜のような木の下で微笑む家族の姿は、国は違っても日本で見る光景ととても重なります。

■増山たづ子
エスカレーターを下りた先の小さな部屋に飾ってあるのは、増山たづ子の写真の数々です。
岐阜県徳山村に生まれ育った増山たづ子。村がダムに沈むことが決まり、還暦を過ぎてから村の姿を写真に残すようになったそうです。村から人が退去していなくなっても、村の跡に通って尚も撮り続けたとか。撮った写真は、数10万枚以上。

日付が入っているのは、1980年代のものが多かったです。
約40年前の山間の村の光景は、「失われた昭和の景色」といえるでしょう。でも、不思議なことに私は、メナスの映像よりも、そこに「懐かしさ」のようなものは感じませんでした。

シルヴィア・ミニオ=パルウェルロ・保田
この人は、イタリア人の女性で、同じくアーティストだった日本人男性と結婚して来日。
でも、結婚してからはあまり制作しなくなってしまい、残された作品は少ないそうです。

こちらは彼女がどこかの学校のために作った聖カタリナ像。
この前に立った時、丁度、吹き抜けフロアの上から、教会音楽のようなものが聞こえてきたのが印象的でした。
恐らくは、上のフロアに飾られていたメカスのビデオでしょう。

■ズビニェク・セカル

■東 勝吉
最後にご紹介するのは、日本人の東勝吉。
この人が絵を始めたのはなんと83歳。老人ホームに入居して以降のことだったそうです。
それまでは木こりとしての人生を送り、絵画に触れたことは特になかったとか。
同じく自己流で絵を描いて人気となったアンリ・ルソーのように、素朴な絵画に癒されました。
下の絵とか、モノトーンが美しく、独学とは思えないほどですね。

ゴッホ展の脇でやってる小さな展示だけど、ちょっと気持ちがふっと軽くなるようないい展覧会。ゴッホ展の半券あればワンコインで見れるのでオススメです。

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